1月Phalaenopsis appendiculata 下写真は今回マレーシア訪問にて持ち帰ったLLサイズのPhal. appendiculataで20株程を炭化コルクに植え付けました。上段は取り付け後の画像、下段は中央および右が今回入手した株で、花付一般FSサイズ(左)と比較した画像です。その大きさの違いが分かります。東京ドームラン展に出品します。Vanda coerulescens 今回のマレーシア訪問で入手したVanda coerulescensのクラスター株で10株で構成されています。花茎の跡が50本以上あります。1株から2本の花茎が毎年発生するとして20本となり、本種はそれぞれ60㎝程の長い花茎に、1本当たり薄青色セパル・ペタルと濃青色のリップの花を10輪以上付けることから全体で200輪を超える同時開花が見られるかも知れません。1-2年後の展示用として入手したものです。国内マーケットでは1株が7,000円から9,000円程で販売されているようですが、シンガポールAsiatic Greenでは15USドルです。東京ドームには野生BS栽培株を1株2,500円で出品します。Paraphalaenopsis serpentilingua とDimorphorchis lowii Paraphalaenopsis属ではParaphal. labukensisが代表的な種として知られています。その中で自然界ではParaphal. deneviiおよびParaphal. serpentilinguaが希少種となります。現在はいずれも実生株がマーケットに供給されるようになり安価に入手できます。今回マレーシア訪問で、ここ数年間入荷が途絶えていたParaphal. serpentilinguaの野生栽培株を見つけ2株が入手できました。下写真上段左がその株で、右は本サイトから引用の花画像です。一方、昨年6月頃まで一枚の葉長が50㎝を超える大株と30㎝程の中サイズのDimorphorchis lowiiをそれぞれ2株と4株程栽培していましたが、その大株がランゾウムシに頂芽を齧られ販売が困難となり、昨年来から海外ラン園に注文を出していました。しかし葉長50㎝超える野生栽培株との条件付きであったため入荷が遅れ、それが今回のマレーシア訪問で大株を2株と中サイズを5株が入手できました。下写真下段左は今回入手した大株と右は本サイトから引用の花画像です。
Dendrobium endertii とDendrobium paathii pink マレーシアラン園にこれまでに見たことがないフォームの花が2株開花しており、何はともあれとそれらを入手しました。出荷準備をしていたところ訪問毎にお会いしている現地趣味家が来られ、いつもの談義、例えばその趣味家がDen. klabatenseやlambiiの調子がよくないのだがどうしてだろうなど、をしていたところ入手した花を見て、それはDen. endertiiだがボルネオ島やマレー半島に生息しておりフォームが多様なことが特徴との説明がありました。昨年10月の訪問時にこのDen. endertiiを注文していたものの訪問時にはラン園には無く、おそらく入荷が遅れたのではないかと思われます。今回は2株だけでしたがそれではと新たに20株ほどを注文したところです。下写真は今回入手した株の花です。一方、同じようにラン園内を物色していたところ、株や花形状はDen. paathiiと変わらないものの、ドーサル、ラテラルセパル共に薄いピンク色の花が咲いていました。本種は極めて稀にドーサルセパルが薄いピンク色となるフォームが見られますがラテラルセパルは初めてです。こちらも2株入手しました。下写真下段がその花です。この薄ピンクは環境温度によって現れたり現れなかったりするような気がします。やや低温で発色する可能性が高いのではと思います。
Dendrobium stockelbuschii この聞きなれない名前のデンドロビウムは1昨年(2016年)命名されたSpatulata節の新種です。命名者によると知人が2014年インドネシア・バンドンの小さな蘭店で入手したもので、1年後に開花し新種であることを確認したそうです。下写真は入手した本種名のBSサイズ10株で、50㎝程の長さの古い疑似バルブがバックバルブとしてそれぞれの株にありましたが切り落とし、新しいバルブ3-5本程をスリット入りプラスチック鉢にミズゴケとクリプトモスミックスで植え付けたものです。前記リンク先の記事には疑似バルブは最長60㎝程とあります。Spatulata節としては比較的短いことから扱い易い種と思います。国内市場で昨年32,000円の価格が見られますが、本サイトでは東京ドームで7,000円を予定しています。
Phalaenopsis celebensis マレーシアから持ち帰ったPhal. celebensisです。炭化コルクに植え付けました。通常の細長い葉と比べやや幅広の株が多くPhal. schillerinaのような様態です。実生株とは3倍程の大きな野生栽培株です。入手時は開花の終わった花茎が残っており、多いもので5本の茎数もありました。
Phalaenopsis lueddemanniana dark solid red II 東京ドームラン展への出品準備のため、間もなくマレーシアを訪問します。さてどのような品種が得られるか、50種以上のランが入荷するそうで約半数はニューギニア(パプアおよびIrian Jaya)生息種となります。800株程の持ち帰りになると思います。ところで今月の歳月記にPhal. lueddmanniana solid redの2回目の浜松温室での自家交配による苗をサンシャインシティラン展に次いで来月の東京ドームラン展にも出品することを取り上げました。昨日この2ロット目の苗の一つが開花しました。BSサイズにはさらに1年は要すると予測していましたが第2ロット最初の開花となります。期待通りの親株とうり二つのフォームで安心しました。
今月の開花株 2017年度の今月の開花株を更新しました。希少フォームの価格 新種や種名不明種の価格の決定には難しい問題があります。本サイトの価格は基本的に現地での仕入れ価格をベースに諸経費を考慮した一定の掛け率で決定しており、マーケットでの既存価格を参考するのはシンガポールAsiatic Greenなど海外ラン園の欧米向け国際価格程度です。国内のマーケット価格は、仕入れ方法やルートが違う以上、その是非は兎も角、全く参考にしません。こうしたポリシーから種名が不明の種、言い換えればネットでのマーケット情報が無い種の価格についても同様な手法を用いており、希少性や初登場などの曖昧な付加価値はこれまで価格には反映していません。しばしば業者間での価格が高い安いの議論があります。その際の重要で考慮すべき点は、株のサイズ、生息地、野生栽培株か実生か、品質(順化完了株か否か)などの見極めをした上での比較や議論が必須であり、例えば実生と野生栽培株とでは最低2倍、通常は3倍程に仕入れ値が異なり、また順化前か後かは歩留まりコストが入荷時の株の品質で大きく異なります。さらに株が鉢植えか、ヘゴ板等の板取付かで植え付けコストは2倍以上変わります。 こうした中、仕入れ価格自体が間違いではないかと思える事例にしばしば遭遇します。最近の一例がパプアニューギニアからのBulb. nasicaグループです。下写真左はBulb. nasicaで、中央はBulb. nasica yellowタイプ、右は不明種です。仕入れ価格をベースにすると左のBulb. nasicaはバルブ数を最少4-5バルブとして板取り付けで2,000円から2,500円(ペアールートでは1,500-2,000円)の販売価格が相当となります。写真中央のyellowタイプも左の一般種に混在して入荷しているため開花するまでは両者が区別できず、結果価格はこれまで同じです。一方、右画像は仕入れ価格がバルボフィラムとしてはBulb. kubahenseをはるかに超える高額で且つ入荷数が少量であったため今月のサンシャインシティラン展では販売価格を1株20,000円としましたが売れてしまいました。 そこで問題ですが、昨年来40株程Bulb. nasicaの開花を確認しているものの、そのほとんどは左のフォームで写真中央のBulb. nasica yellowはこれまで2株しか現れていません。ネットでBulb. nasicaを改めて検索したのですがyellowタイプは本サイトからの引用画像以外該当する画像が殆んどありません。このことはyellowタイプが希少種なのか、Bulb. nasicaとは異なる種なのかとの疑問が生じます。こうした同一名の株に交じるフォームの違いはどの属種にもしばしば見られます。Bulb. nasicaとして入手したものの果たしてこのyellowタイプを左の一般フォームと同額とすべきか、前記を基本とすれば同額が道理ですが、数十分の一の割合で現れるフォームを一般種と同額にするのも疑問で悩ましい問題です。対応としてはyellowと分かったものは分離し別額に、花を確認していない株は開花を待つことなく一般種と同額にするのが良いかと。(後記:インドネシアForesta Orchidではこのyellowタイプをパプアニューギニア生息のBulb. spとしBulb. nasicaとは別種扱いのようです。) Phalaenopsis lueddemanniana dark solid red 昨年と今年1月のサンシャインシティラン展に、本サイトが自家交配し作出したPhal. lueddmanniana solid redのSeedling (実生)を出品しました。同時にこの時期、同じ親株の第一回自家交配(5年前)の実生が浜松温室にて開花中です。下写真が本日(14日)撮影のその実生花です。ほぼソリッドレッドとして完成したフォームと思われます。2月の東京ドームラン展には左右葉間のスパン15㎝と20㎝程の2つのサイズを出品する予定です。後者サイズは交配から今年で3年半となり、来年春には開花サイズとなります。
Bulbophyllum hirtulum 昨年10月に取り上げたBulb. spが開花しました。調べたところ1900年命名でマレーシア、スマトラ島およびボルネオ島の生息種であるBulb. hirtulumと分かりました。開花した株は北スマトラ島からです。葉裏にピッタリと寄り添って花茎が伸び葉下に開花する性格からポット植えは適しません。下写真左が今回開花した花で、右は本種の炭化コルク取り付け前の株です。ネットからは国内でのマーケット情報が見当たりません。
Dendrobium heterocarpum Palawan続き Palawanから入荷した本種名の別株が開花しました。同じロット(生息場所)であるにもかかわらず花は先に記載したDen. rhombeumの形態で、一段と謎が深まりました。Palawan諸島におけるこのような種の相関はPhal. amabilisにも見られ、Phal. amabilis Palawanは現在のPalawan諸島がフィリピンとボルネオ島と陸続きであった時代にPhal. aphroditeから進化したとされ、Phal. amabilisがボルネオ島からJavaやスマトラ島さらにオーストラリアへ、一方Phal. aphroditeはフィリピン諸島および台湾に移動したとされます。Palawan諸島に見られるPhal. amabilisのリップ(カルス)形状にはボルネオ島のPhal. amabilisとフィリピンのPhal. aphroditeとの中間あるいは両者のいずれか寄りの特徴が同一ロット内に現れます。Palawan諸島のDen. heterocarpumとDen. rhombeumは近縁種と思われ、どちらが進化的により古い種であるかは不明ですがPhal. amabilisとPhal. aphroditeに似た関係があるのかも知れません。下写真は両者を撮影したものです。それぞれの写真で右側が今回開花したDen. rhombeumと思われる花です。同一ロット内の花形状とは思えない違いを感じます。こうなるとスマトラ島AcehのDen. heterocarpumの開花が楽しみになってきました。これらPalawanからの両者とAcehからの株は東京ドームラン展に出品する予定です。
Dendrobium heterocarpum Palawan フィリピンパラワン諸島からのDen. heterocarpumが開花しました。ボルネオ島生息種に見られる白色のセパルペタルに、全体が黄色のリップに赤褐色のラインが走るフォームと同じかと想像していましたが、下写真に見られるように薄い緑味のあるクリーム色のセパルペタルに、リップはそれと同じベース色に基部が黄緑色のライン、またリップ中央部は赤褐色のラインが入るフォームとなっています。全ての株でこのようなフォームなのか個体差があるのかは、現在多数の株で蕾が見られることから間もなく分かると思います。 ミズゴケとクリプトモスミックスにスリット入りプラスチック鉢での植え付けです。これまでフィリピンにDen.. heterocarpumが生息するとの説と一方で生息しない(未確認)説があります。orchidspecies.comを含め多くの記載にはフィリピンでの本種の存在が明記されていますがこれは誤りで、これまでDen.heterocarpumとされている種は、正しくはルソン島、レイテ島およびミンダナオ島とフィリピンの主要な島に広く生息するDen. rhombeumであり別種とするものです。このためJ. Cootes氏の著書Philippine Native Orchid SpeciesにはDen. rhombeumの記載はあるもののDen. heterocarpumの記載がありません。すなわち2009年頃の著書出版時点ではフィリピンにDen. heterocarpumの存在が確認されていません。しかし今回本サイトがPalawanから入荷した株は下写真からDen. rhombeumよりもDen. heterocarpumに類似(あるいはそれらの中間体)しており、リップカルス形状の検証によってはDen. heterocarpumの可能性が高いように思います。Palawan諸島とはこのようにbiogeography(生物地理学)またevolutionary trend(進化的変化)を示す極めて興味ある重要な地域と言えます。
Dendrobium sp 昨年2月の本サイトで紹介したスマトラ島からのDendrobium spに混在していた種名不明の種が今年も開花しました。前回は一つの花茎で2輪のみでしたが、今回は一つの疑似バルブに3つの花茎があり、それぞれの花茎には4輪づつ花をつけており全体で12輪となっています。希少種であれば自家交配しSeedlingを得る計画です。Dendrobium spectabile 一昨年のマレーシアPutrajaya花祭で入手したDen. spectabileが開花しました。パプアニューギニア生息の高温タイプです。大粒のコルクチップ、バークおよびゼオライトミックスでスリット入りプラスチック深鉢植えです。セパル・ペタルだけでなくリップまでも何故にこれ程奇怪にくねっているのか意味不明で、そのような形状に進化するにはそれなりの理由があると思うのですが不思議です。展示用に育てるには良いのではないかと大株で入手したのですが現在花茎が2つで19輪の同時開花となっています。
東京ドームラン展2018 昨日4日間のサンシャインラン展が終わりました。ご来店頂きました趣味家の方々には感謝申し上げます。今回の出品は少量多品種としたため、多くの方々に購入して頂きました反面、初日に売れ切れてしまう種が、特に2010年以降発見の新種に多数あり、これらは1か月程後の東京ドームラン展に再出品することとしました。今年の東京ドームラン展は1ブースの出店のためスペースの制約があり、当サイトとしては初めてプレオーダーの受入れを2月5日から10日までの期間で行うことにしました。プレオーダーの開始日を2月5日とするのは新しい入荷を今月末に予定しているためです。入荷種については今月末より順次本サイトで紹介致します。AJOSサンシャインシティラン展2018 サンシャインシティラン展が今月5日から8日まで開催されます。出店のために本日2日までに梱包した品種リストは本サイトのこちらのページに記載しました。明日さらに追加するかどうかを決め、4日にサンシャインへの搬送およびレイアウトを行います。バルボフィラムで110種、デンドロビウムで80種、胡蝶蘭では40種、その他となり、全てが原種です。2000年以降命名の新種や市場には稀な種が多く含まれます。この機会にぜひご覧ください。2ブース分のスペースとは言え本サイトとしてはこれまでに無い、かなりの品種数のため少量多品種となります。リストに種名があるものの会場にて展示されていない場合はすでに販売済みか未開封の可能性もありますので、その際にはお問い合わせください。前月へ |
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