1.生息分布
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2.生息環境 海抜0-800m、温度20-30C。湿度75-85% | ||
3.形状 3-1 花 ![]() (1)花被片 花被片はロウ質で、黄色をベースに赤褐色の棒状斑点を散りばめる。花径は5cm。Phal. cornu-cervi, Phal. pantherina. Phal. borneensisと類似した花柄および花被片形状であるが、リップ中央弁の形状(クジラの尾のような)がそれらとは異なる。また微香ではあるが甘いスパイシーな匂いがある点でも前記種とは異なる。E. A. Christensonによれば、本種がPhal. cornu-cerviと明確に区別する根拠が見当たらないとしているが、リップ中央弁形状と香りからは別種として扱うべきと思われる。またPhal. cornu-cerviとは異なる、本種固有の様態を実生は継承し、自家交配から他のPhal. cornu-cervi系あるいは雑種としての多様な形態は出現しない。花期は春から夏。香りがある。
(2)リップおよびカルス 下図写真は左4つがPhal. lamelligeraで、右端は中央弁を除いたPhal. cornu-cerviのカルスである。Phal. lamelligeraのリップ中央弁は下写真に示すように鯨の尾に似た形で、左右の翼を分ける中央部は窪んでいる。これが他の類似種と異なる形状である。また中央弁の基部から突き出た棒状突起の先端は類似種の中で最も尖っている。anterior(先端側)カルスは、連続するな歯状突起をもつ襞片の中から2本の紐状突起を出す。右端写真のPhal. cornu-cerviでは、6-7本の紐状の突起が出ている。これらは付け根からそれぞれ分離しているように見えるが共有する襞状片から出ている。この襞状片はposteriorカルスとも連続している。これに対してPhal. lamelligeraではanteriorカルスは2本の紐状突起と小さな歯状突起からなるが、これら襞状片とは分離した基部からcentraカルスおよびposteriorカルスを出す。同じPhal. cornu-cervi種の変種とされるPhal. thalebaniiはPhal. cornu-cerviと同様にanteriorとposterior2つのカルスからなるが、それぞれは分離している。
下写真は本種とPhal. cornu-cerviの変種thalebaniiとのカルスおよび蕊柱との比較を示し、Aは本種、Bがthalebaniiである。棒状突起の先端が本種では尖っており、Phal. cornu-cerviはフラットである。
(3)さく果 さく果は円筒形で他種に多い6筋の溝は浅く、凹凸はほとんどない。花被片部分は交配で緑化し徐々に黄色に変化していくが、枯れ落ちることはない。採り撒きは4ヵ月後に可能となる。下写真は本種の自家交配の播種から約1年後のフラスコ苗である。
3-2 変種および地域変異 写真で見られるように外形やパターンに個体差はあるが変種は知られていない。3-3 葉 葉はPhal. cornu-cervi系と同様で蝋質。緑味が強い黄緑色で艶と厚みがある。葉長は12-15cm、幅3.5-4.0cm。大株になると8-10枚程の葉をつける。葉は立ち性で固く、張りが強く交互左右に展開するためが強くポット植えも可能である。写真はクリプトモス・プラスチック植えである。このコンポストで通年で開花している。 現在の多くはヘゴチップ・プラスチック植えで栽培している。
3-4 花茎 花茎は15-20cm長。花茎の第二間接までは円柱形で、その先は扁平となる。左右に花を1輪づつ付けながら伸長してゆくため花茎当たりでは同時に多輪花となることはない。花茎を切らないでそのまま残すと通年(冬季はやや少ない)で開花し、開花時期に決まった季節がないようである。
3-5 根 Phal. cornu-cervi系と同じく太く銀白色。 | ||||||||||||||||
4.育成
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5.特記事項 本種とPhal. cornu-cervi, Phal. pantherina, Phal. borneensisとはリップおよびカルス形状以外での区別は困難。 | ||