Dendrobium cinnabarinum var. angustitepalum (Section Crumenata)


生息環境・生態

 Den. cinnabarinumの変種とされる本種の生息域詳細は不明。一方、Den. cinnabarinumはボルネオ島Sarawakとされ、Sarawak Gunung Mulu周辺の標高1,200mほどの山林に生息とされる。var. angustitepalumDen. cinnabarinumの変種であることから、同じSarawak州内であっても生息地は異なると思われる。また現地サプライヤーはDen. cinnabarinumと比較してより低地の生息と語っており、栽培実態からも本種はDen. cinnabarinumに比べ3-4℃高い温度が適していると考えられる。この結果から現在入荷種の生息環境を以下に推定した。

 生息域: 標高800 - 1,200m
 温度: 17 - 28℃
 湿度: 80%i以上
 輝度: 中輝度
 生態: 着生 疑似バルブはDen. cinnabarinumが直線的であるのに対し、本種はややジグザグに伸長する。
 開花期: 春から夏(国内温室)
 

栽培環境

 栽培温度範囲: 15 - 30℃、夜間平均気温は20℃以下
 栽培湿度: 80%以上(夜間)
 輝度: 中輝度(夏期晴天時寒冷紗70%)
 特性: 花寿命は1週間程であるが、複数の花が数日間隔で開花するため、株当たりの開花期間は1か月程と長い。高芽がよく発生する。一般的にデンドロビウムでは、高芽は根の異常(腐敗等)により新芽の発生が困難な場合に生じることが多いが、本種は根の状態に関わらず高芽がしばしば発生する。

 
 上写真は本種の植え替え時の撮影で、左は約2年間の木製バスケットでの栽培後、植替えのため取り外し洗浄した株で、左側は親株(約60m)、右はその分け株である。根の状態からバスケットでの栽培(根周りが通年で湿った状態))が優れていることが分かる。右画像は右側の親株から高芽を外し、それぞれを木製バスケットに植付けた画像。このサイズの高芽がFSサイズになるには凡そ2 -3年を要する。

管理

 難易度: 普通
 植付け
植付け 適応性 植付け材 植替え期間 備考
素焼き鉢  気相率が高い植え込み材 2年以内  
プラスチック鉢 同上 同上  
バスケット ミズゴケ 2年以内 木製バスケット
ヘゴ/コルクなど板材   3年以内  高湿度環境が必要

 ポット、ヘゴ、コルクなど各種の植付け栽培結果からは木製バスケットが最も成長がよい。ヘゴやコルクなどの板材を使用する場合は、根周りの乾燥を防ぐため高湿度環境が必要となる。

病害虫防除

 病害虫には強い種である。
 病害虫防除はこちらの情報を参照。

関連サイト

  • http://www.orchidspecies.com/dencinnabarinum.htm

特記事項

  入手難な種の一つであるが、過去7年間に2回それぞれ10株程入荷している。花および疑似バルブ形状および栽培適応環境からは本種がDen. cinnabarinumの変種とされることには疑問があり、別種として検討(分子系統分類)が必要と思われる。