Dendrobium rindjaniense (Section pedilonum)


生息環境・生態

 生息域: インドネシアLombok島標高1,000m以上 
 温度: 15 - 25℃(推定)
 湿度: 80%以上(推定)
 輝度:  高輝度
 生態: 着生
 匂い: 無し
 開花期: 晩秋 - 初春

 C.O.Baker著Orchid Species Culture,Timber Press1996によると、本種は標高1,925m - 2,000mに生息、Lombok島Segara Anakでの採取記録があるとされ、また標高から推定し温度は夜間10 - 13℃、昼間18 - 19℃また湿度は70 - 75%との記載がある。この温度はニューギニア高地生息のDen. cuthbertsoniiの生息環境と同等レベルであり、この情報から、本種数株をコールドタイプとして栽培を試みたが、成長は見られず作落ちが生じた。一方、夜間最低温度15℃、昼間25-28℃温度環境において栽培した株は成長が盛んで、新芽の発生や開花が見られた。このことから近年の本種入荷ロット株は標高1,000m程に生息の中温タイプと考えられる。また同書での栽培情報として、湿度は前記した70 - 75℃とされており、さらに冬季はかん水量を若干減らし、但し根を長く乾燥させてはならないと記載されているが、当栽培拠点(浜松)の気候には四季があるものの温室内には四季は無く、夜間平均温度を15℃以上20℃以下とする限り、かん水頻度は支持材のミズゴケの湿り具合で調整し、通年で根周りは乾燥させないことに重点をおいている。こうした処理は四季の無い生息地の環境に近く、好ましいと思われる。

栽培環境

 栽培温度範囲: 中温タイプ。夜間平均温度は20℃以下
 栽培湿度: 80%以上(夜間)
 輝度: 中 - 高輝度
 特性: 疑似バルブは長く(最長1m程)半下垂性で2年程で50-80㎝に伸長。3年程で落葉し、多くは落葉したバルブに花茎が発生する。

ブロックバーク 2年半経過の新芽(最長1.1m)

管理

 難易度: 夜間温度が通年で20℃以下で根周りを乾燥させない環境であれば栽培は容易である。入荷後、開花はしたものの新芽が春から秋にかけて現れない場合、根を調べる必要がある。多数の根が黒ずんでいるか、根が2-3本しかない場合は、栽培環境とそれに適応した管理に問題があると思われる。初花は株の健康状態を示すものではなく、入荷後の年の開花はそれまでの体力に依存する。疑似バルブの根元が緑色を残している場合は、植替えや植込み材の変更で再生する可能性が高いが、緑色を失いやや黄味がかった色となっている場合は再生は困難である。

 植付け
植付け 適応性 植付け材 植替え期間 備考
素焼き鉢      半立ち性のため大株の鉢植えは困難
プラスチック鉢      同上
バスケット ミズゴケ 2年以内  ミズゴケのみ交換
ヘゴ/コルクなど板材 板上にミズゴケを敷き取付け 3年以内  夜間の高湿度環境が必要

病害虫防除

  • 病害虫には強い種である。新芽が枯れることがあるが、この原因の多くは根周りの水分不足によるもの。また夜間平均温度が25℃以上が長期間続くと、新バルブに葉先枯れ症状が現れる。伸長後の通常の落葉と、この高温による落葉との違いはバルブの年齢から判断でき、新芽発生から2年以内で落葉する場合、高温障害あるいは根周りの湿度不足が原因と考えられる。

  • 病害虫防除はこちらの一般情報を参照。

関連サイト

  • http://www.orchidspecies.com/denrindjaniense.htm

特記事項

 これまで4年間の栽培ではブロックバークへの取り付けに最も活発な成長が見られる。 インドネシアからの本種の直輸入はCITES認可や品質の点で難しい。現地では2-3バルブに小さく株分けしてストックしていることと、入荷までの搬送期間が長いことから、入手後の順化処理は必須となり、国内ではこの処理を得た株を得ることが重要。この際、特に根の状態を調べ(生きた根が複数あることを確認)、また新芽のある株が好ましい。本種は落葉種であり、葉の無いバルブでも3年程は生き、その間に落葉バルブに複数回開花が見られる。栽培環境が適していれば1年で2本程の新芽が発生する。この新芽が花をつけるまでの期間は2年を要する。