8月
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Den. cymboglossum f. alba? | Den. cymboglossum common-form |
Dendrobium ovipostriferum
酷暑の中、Den. ovipostriferumが多数の株で開花中です。本種の花寿命は温室内で夜間平均温度が25℃を超える猛暑が続く場合は約1か月、20℃以下になれば2ヶ月と長いことと、花柄当たり2-5輪開花するため複数の株があると華やかになります。画像下の青色種名のクリックで詳細情報が得られます。Dendrobium. ovipostriferum Borneo |
病害虫防除
昨日(22日)は8月に入って2回目の病害虫防除薬品を散布したところです。ベルクート(規定希釈)、ストマイ(規定希釈)、アディオン乳剤(規定希釈)、オルトラン(1/250倍)の混合としました。前者2つの薬品はそれぞれ高温多湿で発生率の高い、カビ系、細菌系対応として、また後者は特にオオランヒメゾウムシの病害虫除去が目的です。梅雨入りから9月中旬までは2-3週間隔での散布を、またカビ系と細菌系に対してはトリフミンやナレートとローテーションすることもあります。昼間は気温が高く薬害の恐れがあるため散布は夕方に行います。10月以降は状況判断となり例年では5月頃まで2ヶ月に1回程度予防として行う程度です。希少種や単茎性ランも多いため発病してからでは遅く、特に高温期での病害虫には気を使います。フィリピンやマレーシアの熱帯気候下では、ローカルマーケット向けの胡蝶蘭交配種栽培農家も多く、月1回の散布では少な過ぎ、ほぼ通年で2週間間隔で病害虫薬品の散布をするそうです。Dendrobium punbatuense
7月の歳月記に、Den. serena-alexianum名で入荷したデンドロビウムがDen. punbatuenseのミスラベルの可能性があることを取り上げましたが今月、3年近く前にDen. sarawakense名で入荷した株が開花し、調べたところこれも前記同様のDen. punbatuenseであることが分かりました。Den. punbatuenseは2008年Malesian Orchid Journalに掲載され、ボルネオ島Sabah州および南Kalimantan Meratus山周辺の標高400 - 1,000mに生息の高温タイプとされます。しかし2年間に渡って、2回もミスラベルで入荷した種としては偶然なのか、また果たして入手難な種であるかどうかは分かりませんが、ネット検索での国内での本種情報は当サイトのみで、また海外においてもマーケット情報(本種名とPriceで検索)が見当たりません。Dendrobium punbatuense |
Phalaenopsis hieroglyphincaの特大株
今年2月にフィリピンのラン園にて、葉は萎びて薄く巻けてしまう程の張りの無い大きな株があったため何かと聞いたところPhal. hieroglyphincaとのことでした。間違いなくこのままでは.枯れを待つのみの様態でした。しかし葉長は40㎝を超え、しかも5株程のクラスターからなるPhal. hieroglyphicaとしてはこれまでに見たことのない大株で、ダメもとと浜松に持ち帰りました。Phal. hieroglyphica |
Coelogyne sp Palawan
昨年8月の歳月記「Coelogyne Palawan」で取り上げた種名不詳のフィリピンPalawan諸島生息のCoelogyne spが開花しました。下写真がその画像で、下段右はこのsp種との比較のためのCoel. palawanensisの株画像です。形態からはTomentosae節でCoel. palawanensisやボルネオ島Coel. hirtellaの近縁種と思われます。しかし、それらとは株形状が異なり、sp種は下段右のCoel. palawanensisのような線形葉ではなく倒披針形であり、またリゾーム(バルブ間の距離)が長いことが特徴です。花形状はCoel. swanianaに酷似するものがありますが、こちらも疑似バルブは卵形であり花茎は下垂します。写真に見られるようにsp種のバルブは細長い円錐形で、花茎は下垂ではなく上段左写真からはバルブ基部を覆っている枯れた固い托葉に押さえられ、バルブにほぼ並行に伸長しているものの上方に向かう性質が見られます。葉、バルブ、花茎、およびリップ形状を含めたAND条件でネット検索しても現在該当する種が見当たらないことから新種あるいは前記した類似種の変種の可能性があります。リゾームが上段左に見られるように長いことや入荷時のバルブと根の形態からほぼ垂直面での着生種と見なして炭化コルク付けとし、中温室での栽培です。Coel. sp Palawan | ||
Coel. sp Palawan |
Coel. sp Palawan |
Coel. palawanensis |
Dendrobium victoriae-reginae
Negros島やミンダナオ島の標高1,200m以上の雲霧林に生息するフィリピン固有種で、青花を代表するDen. victoriae-reginaeが現在開花中です。当サイトでの本種はミンダナオ島からで3年ほど前に入荷した株です。温室の外は酷暑が続きますが、クール室は日中でも25℃で涼しく人よりも待遇の良い環境に居ます。夜間平均温度が20℃以下に設定できれば昼間は32℃程になる中温室で問題はありません。現在100株近くをヘゴ板、炭化コルク、木製バスケットなどに分けた植え付けをしており、下写真の開花株はバスケットです。本種の疑似バルブは下垂タイプのためポット植えは適しません。現地でよく見る植え付けは、ヘゴ板にココナッツの繊維で根を団子状にすっぽりと包んでいます。ミズゴケを使用していないのは、信じがたいことですがフィリピンではミズゴケの方がヘゴ板に比べて遥かに高価なためです。一方、小さなプラスチックバスケットにココナッツ繊維のみの植付けも見られますがこうした植え付けは販売用の簡易的なもので、どれも元気がありません。 基本的にマニラ周辺の気温では本種は暑すぎて生きていけません。Tagaytayでも現状維持が精々です。このためラン園にとっては入荷即販売が必要で、展示会では単品でも買えますが、販売業者が購入する場合は少なくとも100株単位が条件となり10-20株程度ではまず取り扱ってくれません。中温タイプのデンドロビウムはほぼ全てがこうした取引となります。 尤も日本国内の販売価格並で良いと言えば話は別でしょうが。なお、本種の開花はorchidspecies.comでは晩春とされていますが、当サイトでは夏季が多いもののの不定期で、これだけの数を栽培していると何時もどこかで1-2輪は開花しています。環境に合うと次々と茎からの栄養芽で増えます。このためその花色から人気のある本種は毎年それなりの数を販売しているものの100株は一向に減りません。こうしたこともあり現在本サイトでは野生栽培株にもかかわらず1株3-4バルブ(茎)で1,500円で、株サイズを考えると通常市場価格の1/3以下です。Den. victoriae-reginae |
新しい植え付け方法によるAerides leeanaのその後
Aerides leeanaは同属の中では極めて入手難な種の一つで、確か2016年の東京ドームラン展にPurificacion Orchidが花付株を10株ほど出品し完売していました。これまで3年近く現地ラン園に発注していましたがようやく今年2月に50株ほど纏まって入荷し、3月に植え付けを完了しました。トレーに入れた多数の花の付いた植え付け前の株を2月の歳月記に掲載し、また4月歳月記では題目「従来の習慣とは異なる植付け」にて、炭化コルクへの植え付けを取り上げました。植付けから5か月が経過し現在の株の状態が下の写真です。Dendrobium sanguinolentum
Den. sanguinolentumが開花しています。例年ですと浜松温室では初春と秋ですが、なぜか今年はこの酷暑の中で、しかも満開です。ゴールドやウイート色などをベースにセパル、・ペタルおよびリップの先端が青紫の斑点を持つものと、この斑点が無いものと、その花フォームは様々です。バスケット植えが最も成長が良く、毎年2回開花して3年経ちます。バスケットから溢れる程の大株になってしまったので植え込み材の交換と枯れた茎を除くなど剪定を含め開花後には植え替えが必要かと考えているところです。Den. sanguinolentum |
Vanda sanderiana alba. pinkとyellow form
2009年から2016年まで多数のVanda sanderianaを収集しました。その中で下写真の左端はPOS (Philippine Orchid Society) Mid-Year Orchid Show 2016年のVanda sanderiana f. albaのブルーリボン賞 (優勝花) で、その右側はレッドリボン (3位) 入賞株です。また左から3番目は別年にレッドリボン賞を得たピンクカラーフォームで、右端が希少とされる黄色フォームです。2016年のPOSラン展では1位から3位入賞株を全て買い占め、浜松に持ち帰りました。albaのホワイトリボン(2位)は順化後に趣味家に販売しました。現地でのVanda sanderiana開花最盛期は8月となります。このことからミンダナオ島Davao市のワリンワリン祭は8月に開かれます。ワリンワリンとはVanda sanderianaの現地名です。2009年に訪問した時は展示会場には無数のVanda sanderianaが展示・販売されていました。しかしこの年の炎天下の会場には外国人にとって30分と居られない40℃以上の酷暑でした。同伴した会津若松の友人はこのワリンワリン祭でのalbaフォームの優勝株を入手しました。Vanda sanderianaはDavao Apo山に生息しDavao市を象徴する花であり、且つ本種名のついた祭りでの優勝花ですから、その年の世界トップレベルのVanda sanderianaであったと思います。Alba form | Pink form | Yellow form |
Bulbophyllum virescens
この連日の猛暑で高温タイプの株を栽培する温室内には30分と居られません。こうした中、4年前にボルネオ島およびキャメロンハイランドから入荷したストック用のBulb. virescensが大株となり、木製バスケットから多数のバルブがはみ出していたため、こららの株分けと植え替えを行いました。本種はよくBulb. binnendijkiiと比較されます。orchidspecies.comではBulb. virescensのページでBulb. binnendijkiiをシノニム(同種)としているものの、Bulb. binnendijkiiにはBulb. virescensをシノニムとしていません。ネットでも両者の画像が混在しています。花無し株からは両者の区別ができないため、マーケットにおいても種名タグ(ラベル)は曖昧です。花を見て長いラテラルセパルの曲がり具合や、セパル・ペタルでの斑点の有無による判断が精々です。Bulb. virescens Cameron Highlands | Bulb. virescens Borneo | Cameron HL (left), Borneo (right) |